【感想/文学賞】まだ見ぬ名作を求めて『世界の8大文学賞 受賞作から読み解く現代小説の今』

芥川賞や直木賞、ノーベル文学賞なら多くの人がその名を知っていると思います。

最近だと、芸人の又吉直樹さんが「火花」で芥川賞を受賞し、200万部を超えるベストセラーをただき出したことが記憶に新しいですよね。

でも、世界には他にもたくさんの文学賞が存在していることをご存知でしょうか?まぁ僕もほとんど知らないミーハーなんですが(笑)

今回紹介する『世界の8大文学賞 受賞作から読み解く現代小説の今』では、芥川賞やノーベル文学賞をはじめ世界に存在している大きな文学賞8つを紹介するとともに、その中でも特にこの3つ!っていう作品が紹介されています。もし、気になった作品、作家がいれば、読んでみてはいかがでしょうか?

本の内容はこんな感じ

この本で紹介されている文学賞は以下の通りです。

  • ノーベル文学賞
  • 芥川賞
  • 直木賞
  • ブッカー賞
  • ゴンクール賞
  • ピュリツァー賞
  • カフカ賞
  • エルサレム賞

という感じです。これらの文学賞に選ばれた過去の作品と受賞者について、著者である都甲孝治さんと翻訳家や作家、詩人、文学者、ライターなど総勢13名が談話形式で語っています。

また、作品や受賞者についてだけではなくて、その賞にその作品や受賞者が正しいのか?正しくないのか?みたいな文学賞自体の話もかなり深く話されています。

感想

面白かった。その言葉に尽きます。

タイトルで「受賞作から読み解く」なんて書いてあるので、かなり堅苦しい内容で、あまりページも進まず読みにくいものだと思っていました。でも、実際に読んでみると、内容はかなり凝っていますし、話している内容も作品を知らないとわかりづらい部分もありますが、対談形式だからなのかかなり軽い感じで読むことができました。

早い人なら2〜3時間で読めるかなーというくらいの軽さ。僕は読むのが遅いので1日かかりましたが(笑)

何が面白かったんだろう?と考えてみると、2つの答えに行き着きました。

一つ目の答えは誰かの書評だからです。それも僕のように適当に本を読んで書いている人間の書評ではなくて、本気で文学や本が好きで、それを生業にしている人の書評だったから面白かったんだと思います。

いくら本が好き、小説が好き、文学が好きと言っても、あまり他の人の書評を読む機会なんてないですし、その本について熱く語った話も聞きません。あっても本の帯に書いてるちょっとした文章くらい。

なので、一つの作品についてガッツリと書評?というよりも想いを語っている人たちの言葉には心が打たれました。

もう一つは、まだ見たこと、読んだこと、聞いたことのない作品に触れることができたからです。

どれだけ本を好きな人であっても、読む本には傾向が出ます。それは小説ならミステリーや恋愛、ファンタジー。ビジネス書や新書、絵本、図鑑と人によって読む本のジャンルはかなり偏りがあると思います。なので、出会わない本ってかなりあるんですよね。(まぁそうでなくても出会う本には限りがありますがw)

それが文学賞を受賞する作品でも起こりうるし、日本以外の作家に目をやるとその数は膨大だと思います。そう考えたときに、こうやって著名な人たちが、ガッツリ本を紹介してくれているのってありがたいんですよね。

紹介されるってことはそれなりに意味がある本だと思いますし、心を打たれる、動かされる内容なんだろうなと思うんです。これまでいかに自分の読んできた本、見てきた世界が狭かったのか、偏ってきたのかがありありとわかった瞬間でもあり、それはそれで面白かったですね。

読んでみたくなった作品

今回この『世界の8大文学賞 受賞作から読み解く現代小説の今』を通して、僕が読みたくなった本をあげてみます。感想はまた読んでから書こうと思います。(まだ読むとは言ってないw)

小説のように (著:アリス マンロー)

子持ちの若い女に夫を奪われた音楽教師。やがて新しい伴侶と恵まれた暮らしを送るようになった彼女の前に、忘れたはずの過去を窺わせる小説が現われる。ひとりの少女が、遠い日の自分を見つめていた―「小説のように」。死の床にある青年をめぐる、妻、継母、マッサージ師の三人の女たちのせめぎあいと、青年のさいごの思いを描く「女たち」。ロシア史上初の女性数学者として、19世紀ヨーロッパを生き抜いた実在の人物をモデルに、苦難のなかでも潰えることのなかったその才能とたおやかな人物像を綴る「あまりに幸せ」など、長篇を凌ぐ読後感をもたらす珠玉の10篇。国際ブッカー賞受賞後第一作。「短篇の女王」70代の集大成。最新作品集。

(引用元:Amazon「小説のように (新潮クレスト・ブックス)」)

昏き目の暗殺者(著:マーガレット アトウッド)

1945年、妹のローラは車ごと橋から転落して死んだ……あれは本当に事故だったのだろうか? いま、年老いた姉のアイリスは、孤独のなか自分の来し方とともに思い返す。それに、ローラの死後出版され、彼女を伝説の作家にまつりあげることになったSF小説『昏き目の暗殺者』に描かれた恋人たちは誰がモデルなのだろうか? わたしたちチェイス家は代々、釦工業で財をなす、ポート・タイコンデローガの町いちばんの名家だった。だが、労働運動の激化で家業が傾き、わたしは父のライバルに台頭してきたリチャード・グリフェンのもとに嫁ぐことになった。無垢そのもので世事に疎い妹ローラには、家運を背負ってのわたしの決心など理解しようもなかった。やがて、娘をもうけたわたしの前に、すべてを突き崩す事実が立ちふさがる……。
ある一族の波瀾の歴史を、孤独と追憶の迷宮のなかに描く、近代・現代文学の総決算。

(引用元:Amazon「昏き目の暗殺者」

愉楽(著:閻 連科)

猛暑の村に大雪が降る。レーニンの遺体を買い取って記念館を建設するため、超絶技巧の見世物団が結成される。魔術的リアリズム巨編。

(引用元:Amazon「愉楽」

流(著:東山彰良)

何者でもなかった。ゆえに自由だった――。
1975年、台北。偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。
内戦で敗れ、追われるように台湾に渡った不死身の祖父。なぜ? 誰が?
無軌道に生きる17歳のわたしには、まだその意味はわからなかった。
台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。

(引用元:Amazon「流」

未成年(著:イアン マキューアン)

輸血を拒む少年と、命を委ねられた女性裁判官。深い余韻を残す長篇小説。法廷で様々な家族の問題に接する一方、自らの夫婦関係にも悩む裁判官の元に、信仰から輸血を拒む少年の審判が持ち込まれる。聡明で思慮深く、しかし成年には数か月足りない少年。宗教と法と命の狭間で言葉を重ねる二人の間には、特別な絆が生まれるが――。二つの人生の交わりを豊かに描きながら重い問いを投げかける傑作長篇。

(引用元:Amazon「未成年 (新潮クレスト・ブックス)」

夢宮殿(著:イスマイル・カダレ)

名門出の青年が職を得たのは、〈夢宮殿〉。迷宮のような建物の中には、選別室、解釈室、筆生室、監禁室などが扉を閉ざして並んでいた。ノーベル文学賞候補作家による幻想と寓意に満ちた傑作。

(引用元:Amazon「夢宮殿 (創元ライブラリ)」

あとがき

新しい文学に出会うことは、僕にとって新しい世界と触れる機会でもあり、自分の想像力を広げるための一歩だと思っています。それは自分では経験できないようなこと、自分では思いつかないことを体験できる、想像できるからです。

誰しも自分でできることには限りがあります。でも、こうやって誰かの力を借りれば、世界は広がるし、想像力も広がります。それが本ならではの良さだと思っています。

最近はスマホで情報を集める人が多くなる一方、自ら本を買い、最後まで読み切る人が少なくなってきているように感じます。もちろんそれが悪いわけではない。でも、それには限界があることを知ることは大切です。スマホというか、検索できる世界はつまらない。それよりももっと想像力や知的好奇心をくすぶる何かに接してみてはいかがでしょうか?

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