【感想/哲学】『死ってなんだろう。死はすべての終わりなの?』から学んだ、死との向き合い方

タイトルがストレートに心に響いたので、すぐに手に取りました。

「死ってなんだろう。死はすべての終わりなの?」と子どもに聞かれたら答えられますか?それとも「そんなこと考えてないで楽しみなさい」なんてはぐらかすでしょうか?

生きている人は、誰しも経験することがない「死」。でも、生きていれば、逃げることができないのも、また「死」。僕たちは、どうやって生きていようが、生まれてきたからには「死」を遠ざけることはできても、逃げることはできません。

そんな「死」についてわかりやすく教えてくれるのが、この本でした。

簡単な本の内容

読みやすくて、70ページ弱の本なんですが、各章しっかりした内容なので、一つ一つの章の内容を僕なりにまとめようと思います。

なんとも居心地の悪い質問

「なぜ人は死ぬのか?」とはなんとも居心地の悪い質問ですよね。

人はいろいろな要因で死んでしまいます。病気や寿命、災害やテロ、事件や事故など実に多くの要因で、人は死んでしまいます。でも、生きている私たちは、死を経験することができません。むしろ、死を恐れ、死に怯え、死を遠ざけようと生きているでしょう。

そんな人間の姿を哲学者エピクロスは上手く表現しています。

さまざまな不幸の中で
もっとも恐ろしいのは、「死」である。
だが「死」は、わたしたちにまったくかかわりがない。
なぜならわたしたちが生きているあいだは、
死は存在しないし、
死が存在したときは、
わたしたちはもう存在しないからだ。

(引用元 『死ってなんだろう。死はすべての終わりなの?』17頁)

生きている間に関わることができる「死」は、自分ではなくて誰か他の人の「死」なんですよね。家族や兄妹、友だちや大切な人の「死」を経験して、はじめて僕たちは自分の死を意識することができるということです。

どうして死者のために墓をつくるのか?

犬や猫をはじめとして人間以外の動物が、同じ動物の死を悼んでお墓を作っている姿やそれ自体を見たことはありません。地球上で唯一墓を作り、死者との関係を持ち続けようとするのは人間だけなんです。

では、なせ墓を作るのでしょうか?

それは人類という文化を作っているのが、死者であるからなんです。これまでの文化や文明を作ってきたのは、まぎれもなく死者の知識や経験なんです。だからこそ、墓を作り、死者との関係を持ち続けようとするんです。

そのことを上手く表現しているのが、オーギュスト・コントのこの一言です。

人類をかたちづくるのは、
生者よりも死者だ。
(引用元 『死ってなんだろう。死はすべての終わりなの?』27頁)

死後の世界はあるのか?

死んだらどうなるのだろう?

この問いに対する答えは、宗教や文化、地域によってもさまざまである。

たとえば、東洋には輪廻転生という、死者の魂は死後、生まれ変わるという考え方がある。また、キリスト教では、地上での生は仮のものだという考え方もある。

死後の世界というのは、あくまで想像しかできない。では、なぜ想像するのか?と考えると、死を恐れているからであり、免れることができないからである。

病気を治すことはできるし、場合によっては寿命を数年延ばすこともできるようになった。ただ、死を避けることだけはできない。だからこそ、人は生きる意味を求めるのである。ただ、その答えは出ないだろう。出てしまえば、人間の領域を超えてしまうからだ…。

いつか必ず自分は死ぬという考えに、人は慣れることができるのか?

死後の世界を想像する宗教とは別に、哲学は死を受け入れようとする流れがある。それは、ソクラテスやプラトンのような偉人でも同じである。

彼らは、肉体に執着して生きることに対してもっとも恐れ、自らの思考が生き続けること、ひいては魂が不滅であることを求めている。

死を恐れるのではなく、死を受け入れ、死の向こう側について考えることこそが大切である。

死の本当の顔

哲学者のように理性を持って死を乗り越えることはできるのだろうか?

人間以外の動物にとって生きることも死ぬことも自然から与えられるものである。他の生き物の死が自らの生を表し、自らの死が他の生き物の死を表すように。

だが、人間は生きることに意味や目的を見出そうとする。そのため、どれほど年を取ろうが、「まだ早すぎる…」と嘆いてしまう。

生まれることや死ぬことというのは、決してコントロールができないことである。つまり、いつ生まれてくるのか、そして、いつ死ぬのか?ということは誰も知る術がない。だから、死は怖いのだろうか?

いや違う。もし、命が永遠のものだったのなら、どれほど退屈なことだろうか?物理的なことに変化はあっても、本質的なものは何も変わらない。限られた時間しかないからこそ、人はそこに意味を見出そうとするのかもしれない。

そして、その一人一人の意味の積み重ねが、人類の文化や文明を作っていくのだろう。

死に対して恐れるだけではなく、そこに別の意味を見出せば、死を乗り越えるきっかけになるかもしれない。

感想

10代向けの本としては、かなり深くて、読み応えがありました。この本の内容であれば、200〜300ページいってもおかしくないんですが、それを70ページ弱でまとめているのは本当に凄いですね。

「死」について、僕たちは少し恐れ過ぎていたのかもしれません。それは経験できないからこその恐れですし、未知の世界の入り口だからこその恐怖なんですよね。

でも、そんなに怖がる必要はないのかなって思えました。

自分が生きている意味なんてわかりませんし、わかったところでどうしようもないのかもしれません。ですが、だからこそ追い求めて死んでいくでもいいのかなって。自分が生きた意味なんて、自分にはわからなくても、誰かがそれを理解して、誰かがその意味を繋いでいってくれたらそれでいいのかなーって思いました。

死を恐れるということは、生きているということの証なんですよね。それを過度に恐れて縮こまってしまうよりも、その死を乗り越えて羽を広げて生きている方がたぶん面白いと思いますね。

こんな人に読んで欲しい

10代向けの本ではあるんですが、大人もぜひ読んで欲しいです。特に子どもを持つ大人の方には読んで欲しいです。子どもと一緒に読んで、自分たちが感じた「死」について考えを分けあって欲しいですね。

また、病気で悩んでいる方や、災害や事故で「死」や「生」について考えた方にも手に取ってもらえらと思います。

あとがき

「死ってなんだろう。死はすべての終わりなの?」は、ただ「死」について教えてくれるだけではなく、「死」を乗り越えた先にどう生きるのか?ということも教えてくれていると思います。

人生に迷ったとき、死にたくなったとき、誰か大切な人が死んだとき、「死」に対してしっかりと向き合うことで、生きる大切さを感じるんだと思います。

ぜひ、気になった方は一読してみてはいかがでしょうか?

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