タイトルの「女の子が死ぬ話」が話のすべてを物語っていますね。
女の子が死ぬ、一人の女の子が死ぬというシンプルな話ではあるんですが、それでも、それで終らないからこそ名作になるんですよね。
これまで読んだ漫画の中では、ダントツ1位の名作でした。
こんなこと書いてます
あらすじ
「君の余命は早ければ半年
長くても一年もたないだろう…」
といわれる瀬戸遥。
そして、髪型を一新して高校デビューを試みる望月千穂と、瀬戸遥の幼なじみの水橋和哉。
三人は、ごくごく普通の高校生活を送るはずだった。夏は遊園地や動物園、花火を見たり、お祭りに行ったり、海に行ったり…。三人で行く海が遥にとって最後の夏になる…。
夏休み前から学校を休んでいた遥。そして、二学期がはじまり突然学校を辞めることに…。突然の遥の行動に動揺を隠せない千穂と和哉。
そして、遥は息を引き取ることに…。
死ぬ前に遥が決めた事。それは「きれいに死のう」。自分が死んだ時に悲しんでもらえるように、自分の事を思い出した時にきれいな思い出になるように、と。
また、遥の死を知っていた和哉と、それを知らなかった千穂。二人は遥のことを乗り越えられるのか…?
どこか切なく、どこか暖かい青春ドラマがここにある。
感想
遥、千穂、和哉の三人の物語。
遥の死に対して、遥の向き合い方があって、千穂の乗り越え方があって、和哉からの遥への想いと、千穂への気遣いがある。
誰かが死ぬってめちゃくちゃ悲しい事だと思うんですよ。僕はこれまで身内を亡くしたことはないですが、それでも誰かが死ぬ悲しみはなんとなくわかります。まぁわかるなんて言葉で語れないくらい、誰かの死は壮絶で、非情で、辛い事なんだと思いますが…。
そして、自分が死ぬってこの怖さですよね。自分が死んだときのことって考えたことありますか?僕はあります。僕は持病が悪化した時には、常に自分の死を想像してしまいます。「もし、今死んだら…」なんて年に何度もあります。
だからなのか、自分が死ぬということを受け入れ乗り越えている遥の気持ちに、凄い感情移入できるんですよね。「あ、こんな乗り越え方もあるのか」と。いつか友だちや家族が自分のことを思い出してくれる時に、自分の綺麗な姿を思い出してくれるように、綺麗な状態でみんなの前を去る覚悟。それは誰でもできる事ではないんですよね。
何度も何度も「なんで自分が死ななきゃいけないんだ」「なんで自分だけが周りと違う人生なんだ」「辛くても、悲しくても、もっと生きていたい」と考えて、泣いて、苦しんで、自分を嫌いになって、でも、それでも現実は目の前に迫ってくるんです。その現実を受け入れたからこそ、遥はこの覚悟を持てたんだと思うんですよね。
どんな生き方や死に方が正しいなんてことは誰にもわかりません。でも、生まれたからには死ぬんですよね。生まれ方は誰にも選べません。どこに生まれるのかさえも選べません。それでも、どう死ぬのか?どう最後を迎えるのか?というのはある程度決める事ができます。
そんな死との向き合い方、また誰かの死の乗り越え方を教えてくれる良い作品でした。
元気なときにこそ読んで欲しい
死を目の前にして、人はもがき苦しみます。
だからこそ、この作品を元気でピンピンしていている内に読んで欲しいです。
そこで、死とは何か?そして、死とはどうやって向き合えば良いのか?ということを考えていただければと思います。
あとがき
まさに「女の子が死ぬ話」でした。でも、ただでは死なないって感じが凄く伝わってきました。ただ死んでいくだけでは、いつか自分は本当に消えてなくなる。
それでは嫌だ!って気持ちがひしひしと伝わってくる。
そして、遥の死を千穂と和哉がどう乗り越えるのか?というのも見応えがあります。幼なじみだからこそ、新しい親友だからこその想いが凄くよく伝わってくる作品でした。