【感想/小説】『掟上今日子の備忘録』は読みやすいけど、面白い本格派ミステリーだった。

寝たらその日の記憶を失ってしまう掟上今日子と、災難が付いて回る疫病神のような存在の隠館厄介が織り成す西尾維新の本格派ミステリー『掟上今日子』シリーズの第一弾「掟上今日子の備忘録」が面白かったので、紹介しようと思います。

読もうと思ったきっかけ

きっけかは、日本テレビ系列でテレビドラマ化された『掟上今日子の備忘録』を観て、「あ!これ西尾維新の作品じゃん!」ってことを知ったからですね。ただのミーハーですねw

設定がなんとなく斬新で、これまでにもありそうではあるんですが、でもそのありそうな感じを払拭するくらい西尾維新が上手く描いていたので、ちょっと気になっていたんですよ。

で、テレビドラマ放映から半年くらい経ってから、書店をうろうろしていたらこの本が目に入ったので、「あ!そういえば!」って感じで思い立ち一度読んでみることにしたわけです。

簡単なあらすじ

この『掟上今日子の備忘録』は、一冊で一つの作品ではあるんですが、いくつかの物語で構成されているので、その物語にそってあらすじを書きたいと思います。

第一話「初めまして、今日子さん」

幾度となく難事件に巻き込まれ、毎回その犯人だと疑われてしまう残念な男・隠館厄介は、またも事件?に巻き込まれてしまう。最初の事件は、厄介が就職した研究所が舞台。その研究所で漏洩してはいけない情報が入ったSDカードが紛失してしまう…。もちろん疑われるのは、厄介…。

その疑いを晴らすために、厄介が読んだのが「掟上今日子」であった。

掟上今日子は、厄介が知る探偵の中でも、とりわけ優秀でも、有名でも解決率が高いわけでもない…。だが、最速の探偵であった。寝たらその日の記憶を失ってしまう「掟上今日子」の標語は「忘却」。

はたして、掟上今日子は一日でこの事件を解決できるのか…?

第二話「紹介します、今日子さん」

有名漫画家・里井に要求された内容は、

「お前の百万円は預かった。返して欲しければ一億円用意しろ」

という一風変わった。一風どころではなく、とてつもなく理不尽な要求であった。その事実を里井の担当編集をしている紺藤さんから聞いた厄介。犯人の要求に仕方なく応じようとする里井と、なんとかしてそれを阻止したい紺藤。これまでにもお世話になった紺藤を助けるべく、厄介が読んだのは、またしても「掟上今日子」だった。

犯人は、なぜこんな理不尽な要求をしたのか。そして、犯人は一体誰なのか?タイムリミットは一日。今日子は、この事件を解決できるのか…?

第三話「お暇ですか、今日子さん」

第二話に登場した紺藤から、またしても厄介にお願いごとが…。

それは、「小説家・須永昼兵衛(すなが ひるべえ)の最新作の原稿を今日子さんと探して欲しい」ということだった。

今回厄介と今日子が向かうのは、その原稿の在処である須永昼兵衛の別荘。しかし、その道中、須永昼兵衛の死を知らされる厄介…。厄介は、須永昼兵衛の大フャンである今日子を前に、その事実を隠し通せるのか?そして、今日子は無事一日で須永昼兵衛の原稿を探し出すことはできるのか…?

第四話「失礼します、今日子さん」

「須永昼兵衛の死は自殺だったかもしれない…」という疑惑が浮上した。この事実をぜ今日子さんに解き明かして欲しいとの、頼んだのは厄介ではなく、紺藤だった…。

そして、この事実を探るために必要になるのは、須永昼兵衛のこれまでの作品をすべて読むということ。須永昼兵衛の全作品は99冊と、最新作を合わせた100冊。これをすべて読み、事実を確認するためには、一日では解きれない…。

だが、今日子はそのことを差し置いても、事実を確認したいと言う。そのためには、厄介が必要だとも…。寝たら記憶を失う今日子と、その今日子を寝させないために雇われた臨時職員厄介の壮絶な5日間が今始まる…。

第五話「さようなら、今日子さん」

5日間寝ることもなく須永昼兵衛の作品を読み続けた今日子は遂に倒れてしまった…。その姿を発見した厄介は、これ以上彼女に辛い想いをさせるわけにはいかないと、これまでの事実を消し去ろうとする。

そして、今回の話のてん末について厄介と紺藤。そのときに現れたのは、眠っていたはずの今日子だった…。

須永昼兵衛の死の真相。そして、最新作に隠された須永昼兵衛の想いを今日子が解き明かす。

感想

寝たら、その日の記憶がなくなるという設定での探偵っていうのは新しかったですね。一日しか記憶が持たないから、踏み込める事件があって、また忘れるまでの古い記憶しか持たないからこそ、解ける事件がある、というか作るっていうのは面白かったです。

他の探偵であれば、これまでの経験を活かして事件を解決して、どんどん優秀になっていうか、成長していく過程が書けると思うんですが、それがないっていうのは良い意味で斬新。

探偵の今日子が成長しないんですが、一般人間、平均的で、運がない人間厄介が、どんどん成長していく過程は面白いですね。でも、なんだかんだで運はないんですよね…w だから、事件にも巻き込まれるし、でも、そのおかげで今日子に会えるしみたいな展開もまた面白かったです。

『掟上今日子』シリーズはまだこれが第一弾なので、これからの作品を早く読みたいと思います!

ドラマとの違いについて思うこと

ドラマってかなり脚色してあったんですね。原作には登場しないキャラが結構いて、でも、それはそれで結構上手く使われてて、まとまっていたのは凄いなぁーって思いますね。

僕はドラマから入ったので、あんまり違和感なく原作を読めたんですが、原作からドラマだったら、この脚色に結構な違和感を感じたのかなーと思いつつ、でも、それはそれで別の作品としてみても面白いのかなーって思いますね。

あとがき

キャラクターの名前の異質感はザ・西尾維新って感じでしたねw

めだかボックスとか、化物語とかもそうだったんですけど、この人の作品ってやっぱり言葉の使い方が変わってますよね。でも、そこがまた他の作家との違いで良いんですよ。

まぁ他の作品もどんどん読みたいですねー。