【感想/映画】『セッション』ラスト衝撃の9分、固唾を吞まずにはいられない

公開された当時、会社に行く途中の新宿のスクリーンで『セッション』のCMを毎日のように観ていました。

これよりも短いCMだったんですが、観る度に好奇心をくすぐってくる内容で、観たくて観たくてうずうずしていました。ただ、給料が安過すぎたのと、あの当時映画なんて観ている心の余裕がなくて、ずっと観れずにいました…。

観たくて観れない時期が続いていたんですが、ようやく時間にもお金にも心にも余裕が出たので、観ることができました!!!!

ラスト9分19秒は見逃せない面白さでした!たった9分のための前置きの100分ももちろん見逃せません!

あらすじ

名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。
ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。
だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。
浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。
恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし…。

(引用 Amazon『セッション』)

名門音楽大学で落ちこぼれかけていた一人のドラマーがみる天国と地獄。

衝撃のラスト9分は、ニーマンにとって最高の時間となるのか?それとも地獄に落とされるのか…?

感想

とにかく面白かったです。

衝撃のラスト9分はもちろんのこと、それまでのニーマンとフレッチャーの駆け引きは実に面白かった。

誰だって、名門音楽大学の名門ジャズバンドに入れたらそれだけで付け上がってします。加えて、メインドラマーにたまたまであっても抜擢されるならなおさらでしょう。もちろんそれはニーマンとて違いはないわけで。ニーマンはどんどん傲慢になるんですよね。

無駄に見栄を張って、彼女を捨て去り、家族を見下すわけです。「俺は偉大な音楽家になるんだ!」みたいなことをいって、「そのためにはお前(彼女)は邪魔な存在だ!」なんて彼女を捨て去るんですよ。

でも、徐々に自分のドラマーとしても未熟さを思い知らされるんですよね。ニーマンにそのことを知らしめるために、フレッチャーもいろいろやるわけですよ。ライバル的な存在をつれてきたり、高いハードルを突きつけて「ほれみたことか!」というわけです。

それでも、メインドラマーの地位をニーマンは勝ち取るんですよね。挑発され、卑下され、バカにされ、それでも勝ち取るわけです。まぁ取るべくして取ったというか、フレッチャーが取らせたんだろうと思わざるを得ませんが。

ただ、そのためにまた傲慢になるんですよね。「自分が一番のドラマーだ」と。下げて、下げて、下げて、もうダメになるかなーってタイミングで、持ち上げて、さらに頑張ると思いきや、天狗になる。単純ですよね(笑)

で、また問題が起こると。まぁ最後に仲直りするのかどうかは、実際に観て欲しいです(笑)

ニーマンとフレッチャーの関係って、観ていると面白くて、フレッチャーが挑発して、ニーマンが乗っかって、フレッチャーバカにされて、フレッチャーがキレてと、こんなやり取りが幾度となく起こるんですよ。これを師弟関係と呼ぶのかよくわかりませんが、フレッチャーの想いや意志が、ニーマンには最後の最後にしか伝わらないし、逆にニーマンの想いはフレッチャーも最後にしかわからないと。ぎこちない師弟関係ですよね。

衝撃のラストはただ演奏するだけです。でも、その約9分間の演奏の中で、二人の想いがぶつかり合い、高め合い、わかり合っていく姿は、演奏を凌駕したようにも感じました。

なんか何書いているのかわからなくなったきたんですが、とにかく最後の9分はたしかに見物ですが、それまでの過程もしっかり描けたからこその9分間なんだとも思います。ぜひ、一度観てください!

天才は生まれてくるのか?それとも生み出すのか?

この作品を通して考えたのは、天才は生まれながらにして天才なのか?それとも誰かの手によって生み出されるのか?ということです。

ニーマンは、正直ドラムの天才ではないと思います。もちろん、努力を怠らない、そして努力がある程度身になるという点では、才はあるのかもしれませんが、天性のものではないように感じました。

でも、最後の9分を観てわかる通り、ニーマンはドラマーとして最高傑作なんですよね。

生まれながらにしてドラマーではない。けど、フレッチャーの指導、挑発、見下しなどによって、ニーマンは天才へと昇格を遂げる。こうやってみると、意外と世の中の天才と呼ばれる人たちも、元々才はあったにせよ、その才を天才にまで引き上げた誰かがいるんじゃないかと思うんですよね。

才能だけでは、天才とは呼ばれないということ。天才になるためには、その才能の活かし方や鍛え方を知った第三者が必要なんだと思います。そういう人と出会えるかどうかは、運なのかもしれませんが。

まぁそんなことを考えた作品でした。

あとがき

映画『セッション』想像を超える面白さでした。

ジャズ映画や音楽関係の映画は数多くありますが、ここまで熱狂的な映画は数少ないように思います。そして、ドラマーを主人公、テーマにしたからこその、あの熱狂なんだろうとも思います。

ピアノでもなく、サックスでもない、ドラムだからこそのできたあのスピード感と圧倒さは、素晴らしかったです。

この作品はおそらく映画史に残る名作だと思います。これを観なかったからといって人生は損しませんが、これを観て損することは決してない。そんな作品です。