【感想】夏目漱石『こころ』人は“こころ”の奥底で何を感じ、生きているのか?

どうも、なかむら(@ynakamura1201)です。

これまで日本文学の名作はなぜか遠ざけて生きてきました。夏目漱石の『こころ』もその一つです。

ですが、歳を重ね、教えてもらう立場から教える立場へと変わるに従い、『自分』という人間の薄っぺらさを感じたときに、「これからは名作から何か得られるものがあるかもしれない」と思い至りました。その一つ目の作品が夏目漱石の『こころ』

読み終えてなお、難しく、考えさせられる作品だったとしかいえない素晴らしい作品でした。それでは簡単に感想を書いておきます。

『こころ』のあらすじ

「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の三部からなる、日本文学の永遠の名作。

拭い去れない過去の罪悪感を背負ったまま、世間の目から隠れるように暮らす“先生”と“私”との交流を通して、
人の「こころ」の奥底を、漱石が鋭い洞察と筆力によって描いた不朽の名作を朗読でお楽しみください。

学生だった私は鎌倉の海岸で“先生”に出会い、その超然とした姿に強く惹かれていく。
しかし、交流を深めていく中で、“先生”の過去が触れてはいけない暗部として引っかかり続ける。
他人を信用できず、自分自身さえも信用できなくなった“先生”に対し、私はその過去を問う。
そしてその答えを“先生”は遺書という形によって明らかにする。
遺された手紙には、罪の意識により自己否定に生きてきた“先生”の苦悩が克明に記されていた。

己の人生に向き合い、誠実であろうとすればするほど、苦しみは深くなり、自分自身を許すことができなくなる…。
過去に縛られ、悔やみ、激しい葛藤のなかで身動きのとれなくなった“先生”の人生の様はあなたに何を訴えかけるだろうか。
(引用 Amazon『こころ (岩波文庫)』)

感想

冒頭にも書いたように、素晴らしい作品ではありましたが、一方で非常に難しく、考えても答えが出ない問を突きつけられているような作品でもありました。

この『こころ』という作品では、2種類の『死』が存在します。一つが、病による『死』。もう一つが、自ら命を断つ自殺による『死』。

前者の死は、主人公である「私」の父、先生の妻である母親の死、先生の両親の死などがそれにあたり、後者の死は、先生と、先生の友人であるKの死です。

一見、この2つの『死』は対象的に見えますが、極論を言えばどちらも『死』であることに違いはなく、違うところがあるとすれば、それは自分で選んだ『死』なのか、選べない『死』なのかということくらいでしょう。

病や寿命による『死』というのは、人間誰でも抗えません(あらがえません)。それは、今も昔も変わりない事実だと思います。一方で、自殺による『死』というのは、心に決め、行動に移せば誰にでもできる“行為”です。これも実は、今も昔も変わらないんですよね。

つまり、いつの時代も「死にたくないけど、死なざるをえない」人と、「苦しみから解き放たれたくて、死を選ぶ」人はいるということです。『こころ』に登場する先生は、友人を死に追いやったのが自分だと思い、そのことを悔み、苦しみ、最後に懺悔の気持ちとして死を選びました。

ただ、僕が不思議に感じたのは、先生は友人Kが自殺した直後に自殺を選ばなかったことです。20数年もの間、苦しみの中で生きる必要が合ったのだろうか?と疑問をいだきました。しかし、よくよく考えると、先生は誰かに自分の罪の気持ちを伝えてから、死にたかっただろうと思います。それも妻ではない誰かに。

そう考えると、先生が長きに渡り、苦しみの中で生きていた意味がわかります。

先生にとって『死』というのは、長年身近な存在だったんだろうと思います。だからこそ、「私」の父親が病に伏しているときに、「父のもとに帰り、そばに居てあげなさい」的なことをいうんですよね。死を間近にした人にしかわからない、孤独感を先生は知っていたんだろうと思います。

自殺による『死』というのは、人生における逃げのように感じることがあります。ですが、自殺しか選択肢のない人間にとってみれば、それは藁をもつかむ思いで選ぶ選択であって、逃げかどうかなんて関係ないんだろうと思います。今の苦しみから、なんとかして解放されたい。その一心で死を選ぶんだろうと思います。そう思うと、自殺を人生の逃げだとしてしまうことの短絡間は否めないですね。

もちろん、自殺なんて選ばないに越したことはないです。それを食い止められるなら、食い止めるべきですし、それ以外の方法で解決できる何かを提示してあげるべきでしょう。でも、自殺しか選択肢がないのであれば…。と感じてしまうのが、この『こころ』という作品を読み終えた感想です。

さいごに

夏目漱石の『こころ』の感想を適当に書いてみました。

この作品は、読む年齢、立場、状況によって捉え方が変わることは間違いありません。それは追い込まれたときに読めば、先生の気持ちがありありとわかるでしょうし、そうでないなら「私」のようにモヤモヤした感じで読めてしまうと思います。

現代にはない考えさせる作品が『こころ』だと思います。

まだ、読んだことのない方、読んだことあるけど話を覚えていない方は、ぜひ読んでみることをオススメします!

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